ArcSaveは、炉の底部シェルの下に非接触で設置され、炉のシェルを通過する移動電磁場を生成し、電気炉内の溶融物に対流を生成します。
スウェーデンのアベスタにあるOutokumpu Stainlessは、ステンレス鋼製造において長い歴史を持つ大手鉄鋼メーカです。1930年に、Outokumpu Stainlessで2相ステンレス鋼が発明され、現在こちらの拠点はOutokumpuのグローバルR&Dの本拠地となっています。
ArcSaveは、90トン電気炉において炉底のスカル形成を抑制するとともに電源投入時間を短縮、AODプロセスの改善を目的とし、2014年に導入されました。
電気炉は、110MVA変圧器と酸素、窒素、フェロシリコン、炭素注入用の4つのランスマニピュレーター、スクラップ溶解用の電気と3つの酸素バーナーを備え、クロム含有量の多い特殊鋼を製造します。これらの鋼を製造するために、大量のフェロクロム合金が添加され、その結果、炉底部にスカルが形成されます。同社は、炉底ガス攪拌を試みましたが、スカルとスラグの硬さによって失敗に終わりました。
ABB ArcSaveの導入後、スクラップとフェロクロムの溶融が改善、スカル問題も解決され、鋼の歩留まり向上による正確なタップ重量と温度制御が可能となりました。これらのさまざまな効果によって、よりスムーズなAOD操業が可能になりました。タップ温度は20~30℃下げることに成功し、タップ温度の的中率は30%から100%に大幅に上昇しました。タップ重量の的中率も69%から93%に向上しました。ABB ArcSave導入によって、エネルギー消費量も3~4%減少、電極消費量は8~10%減少、電源投入時間は4~5%減少しました。