- ABBはサムスキップグループの水素燃料コンテナ船向けに、動力・推進・オートメーションシステム一式を受注。
- 同船舶は、クリーンで再生可能な燃料源としての水素燃料電池の可能性を世界で初めて実証するものです。
- コンパクトなABB Onboard DC Grid™配電システムにより、性能、効率、システムの安全性が向上
ABBは、オランダ、ロッテルダムに本社を置く世界的物流企業サムスキップグループの新造近距離コンテナ船2隻に総合配電システムを納入します。同船舶は、水素を燃料とする世界初のコンテナ船となります。契約金額等の詳細は明らかにされていません。2023年第2四半期に発注されました。
インド最大の造船・メンテナンス施設であるコーチン造船所で建造される135メートルの船は、それぞれ2025年の第3四半期と第4四半期に引き渡される予定です。両船はオスロのフィヨルドとロッテルダム間、約700海里を運航します。
水素燃料電池の統合に加え、ABBの包括的なパッケージには、船上でのエネルギーの最適利用を保証する新しいコンパクトバージョンのABB Onboard DC Grid™配電システムも含まれています。また、業界をリードする自動化技術、ABB Ability™ System 800xAを搭載したABBのエネルギー貯蔵ソリューション制御により、船上機器のシームレスな運用を実現します。ABB Ability™遠隔診断システムを活用することで、船舶は24時間365日の遠隔サポートを通じて、最適化された安全性と性能の恩恵を受けることになります。
燃料電池は、電気化学反応によって水素の化学エネルギーを電気に変換します。水素の製造に自然エネルギーを使用することで、エネルギーチェーン全体がクリーンになります。水素燃料電池技術は、温室効果ガスの排出を大幅に削減し、エネルギー効率を向上させる可能性を秘めており、海運業界の脱炭素化という課題を解決する最も有望なソリューションのひとつと捉えられています。
サムスキップ社の船舶は、それぞれ3.2MWの水素燃料電池を搭載し、バックアップ用にディーゼル発電機を設置しています。2040年までにネット・ゼロを達成することを目指しているこの物流グループは、燃料電池と寄港地でのグリーン電力利用により、各船が年間約2万5000トンのCO2排出を回避できると見込んでいます。この船は環境に優しい運航の新たな基準を打ち立てるもですが、サムスキップ社の従来型船と同レベルの航行性能が期待されています。
このプロジェクトは、国際海事機関(IMO)が改定した温室効果ガス(GHG)削減戦略に沿ったもので、この改定では、2050年近くまでに国際海運からのGHG排出量をネット・ゼロにすることが求められており、2030年までに低炭素燃料の導入を拡大することを約束するものです。
ABBマリン&ポートのディビジョンプレジデントのJuha Koskelaは、「ABBは、このプロジェクトでサムスキップ社およびコーチン造船所と協力できることを喜ばしく思います。ABBは、脱炭素化に向けた海運の最も野心的な計画の最前線に立ち、グリーンな海上輸送の新たな基準を設定しています」
「サムスキップ社の排出量に関する野心的なレベルには、ABBのような革新的な目標を持ち、将来への投資を惜しまないパートナーが必要です」と、サムスキップグループのフリートマネジメント責任者であるErik Hofmeester氏は述べています。「これらの船舶は、クリーンで再生可能な技術として水素燃料電池を提供するものであり、海運業界にとって画期的な出来事です」
「コーチン造船所は、ABBと提携することで、持続可能な技術における先駆者としての地位を強化し、グリーンシップ建造のグローバルハブになるというインドのビジョンを支援できることを誇りに思います」とコーチン造船所のMadhu S Nair会長兼社長は語っています。
このプロジェクトは、ノルウェーの国営企業ENOVAが共同出資しています。ENOVAはノルウェーの気候・環境省の下で運営されており、より環境に優しいエネルギー消費と生産への転換、エネルギー・気候技術の開発を推進しています。
ABB (ABBN: SIX Swiss Ex)は、より生産的で持続可能な未来の実現に向けて社会と産業の変革に活力を与える、世界をリードするテクノロジー企業です。ソフトウェアをエレクトリフィケーション、ロボット、オートメーション、モーションのポートフォリオに結びつけることで、ABBはテクノロジーの限界を押し広げ、パフォーマンスを新たなレベルに引き上げます。130年以上にわたる卓越した歴史を持つABBの成功は、100カ国以上、105,000人の才気あふれる従業員によって支えられています。www.abb.com