GSKは、ワクチン、専門医薬品、一般医薬品で病気を予防・治療するバイオ医薬品のグローバル企業です。ハンガリーでは、GSKはパートナーと協力し、医薬品やワクチンを患者の皆さまにお届けしています。ハンガリーのワクチン製造施設は、ブダペストの北東30kmに位置するゲデレーにあります。
GSKは、2030年までに欧州事業における気候変動への影響をネットゼロにすることを掲げており、この目標を達成するためGSKはエネルギー効率を高めるプロセスの改善に取り組んでいます。ゲデレー工場では、ポンプアプリケーションが論理的な起点となりました。それらは、低効率のIE1およびIE2モータを使用していただけでなく、旧式の非効率的なドライブで制御や電源直入れ(DOL)駆動されていました。フェーズ1のアップグレードには、水の抽出、前処理、高純度水を循環するプロセスで稼働している合計43台のポンプが選ばれました。
IE5超高効率で排出量を削減
「ポンプモータをIE5効率にアップグレードし、最新のドライブ制御を導入することにしました」とGSKハンガリーの担当者は述べています。 「私たちは、ABBのバリュープロバイダーであるRakóczki社との協業を選びました。彼らは私たちが求めていたIE5モータとドライブのパッケージ提案および、現地でのサービスとサポートも提供してくれました。ABBとRakóczkiの専門家が何度も私たちの現場を訪れ、アプリケーションに関する情報を収集し、技術的な側面について私たちのエンジニアと話し合いました。また、類似プロジェクトの参考資料を提供し、詳細なエネルギー効率の計算も行いました」
「納入製品には、定格出力5.5~55kWのアルミフレームと鋳鉄フレームのIE5 SynRMモータ43台が含まれていました」と、ABBハンガリーのセールスエンジニア、László Csernyikは述べています。「SynRMモータは誘導モータと同様にシンプルですが、永久磁石モータの性能を備えています。レアアースを使用せず、ロータに磁石や巻線がないため、ロータの損失はほぼゼロです。損失が少ないということは低温で運転が可能ということであり、同等の誘導モータよりも信頼性が高く、寿命も長くなります。高い信頼性とウルトラプレミアム効率により、非常に持続可能な選択肢となります」
ドライブ制御による省エネ
モータは、IP21またはIP55の筺体を備えた43台のACH580ドライブに対応します。モータがDOL駆動されていたアプリケーションでは、新しいドライブがクローズドループ圧力制御を実現するように構成されています。圧力センサはドライブの内部PIDレギュレータに接続され、ドライブが循環路内の適正圧力を維持することを可能にします。その結果、ポンプ工程は需要に応じて運転されます。DOL運転からクローズドループ圧力制御に切り替えることで、20%以上のエネルギー削減が可能です。
「プロセスの需要に応じてモータを動作させるためにドライブを使用することで、大きな省エネ効果が得られます」とLászló Csernyikは説明します。「ABBのドライブには、圧力、温度、流量、その他のパラメータに応じて、ほとんどすべてのポンプアプリケーションの制御をサポートする機能と特性が搭載されています。ウルトラプレミアム効率IE5モータと組み合わせることで、ポンプを回転させるたびにエネルギーを節約できます」
現場での設置作業はRakóczki社が実施し、フェーズ1は2024年初頭までに完了しました。アップグレード後、ABBハンガリーはドライブから出力されるデータを使用して、GSK向けの効率レポートを作成しています。GSK の計算によると、新しいモータとドライブはエネルギーを大幅に節約できるため、2年程度で投資回収が可能です。フェーズ1の成功を受けて、GSKは工場の残りのポンプと換気システムを対象とするフェーズ2をすでに計画しています。
Rakóczki Kft. はABBと25年にわたり協業しており、2016年からはABBバリュープロバイダー(AVP)になっています。同社は、電気自動車用のABBモータ、ドライブ、ソフトスタータ、壁面充電器などの製品を提供するほか、メンテナンスやその他のサポートサービスも行っています。Rakóczki社は自社倉庫を有しており、お客さまから要望の多い製品を迅速かつ確実に納入しています。
GSKは英国ブレントフォードに本社を置き、2023年の売上高は300億英ポンド以上と業績報告しました。免疫系の科学と先端技術に重点を置き、感染症、HIV、呼吸器・免疫、腫瘍の4つの中核治療分野に投資しています。GSKは、10年後までに25億人の健康にプラスの影響を与えることを目指しています。