可変周波数ドライブメーカーは、ロボットによる自動化を成功裏に実装、今後に向けた準備も

可変周波数ドライブメーカーは、ロボットによる自動化を成功裏に実装、今後に向けた準備も

概要

チャレンジ:
ABBの可変周波数ドライブ(VFD)の組み立ては、歴史的に手作業で行われ、非常に反復的で、各ドライブの複雑なコンポーネントを締め付けたり配線したりするオペレータによる生産ラインで、物理的に難しい作業が行われてきました。非常に逼迫した労働市場における生産需要増加に直面し、2018年、ABBのプラントエンジニアは自動化の可能性を調査し始めました。

ソリューション:
ABBの協働型双腕ロボットYuMiをベースにしたロボットによる検査後過程セルは、工場フロアの通行量の多い環境において重要な安全柵の必要性を排除すると同時に複数のタスクを独立して実行する能力を提供します。

アプリケーション: 
各ドライブは、最終組み立ての前に一連の検査を受けます。ビジョンシステムは、検査後過程を開始し、特定のユニットを識別し、情報を記録し、試験データとやり取りします。スキャンはドライブのサイズも決定し、ドライブの前面にある27本のねじの位置を特定して緩め、検査機器を自動的に取り外す方法をYuMiに通知します。

詳細:

ABBの可変周波数ドライブ(VFD)は、電気モータによって作動する機械システムの生産性とエネルギー効率を向上させるために、さまざまな産業用および商業用アプリケーションで使用されています。つい最近までは、米国の電気モータの10%だけがVFDによって制御されていました。その数は急増しており、ウィスコンシン州ニューベルリンにあるABBドライブ製造工場では、1年以上にわたり、ほぼ毎月生産台数の新記録を樹立しています。

ABBのVFD組み立ては歴史的に手作業のプロセスであり、オペレータの生産ラインで各ドライブの複雑なコンポーネントを固定および配線していました。非常に逼迫した労働市場における生産需要増加に直面し、ABBのプラントエンジニアは2018年、ロボットによる自動化を導入して既存の製造スタッフを補完する可能性を調査し始めました。

「短期間で出荷を中断することなく成長を支援することが自動化を追求する主な動機でした」とABBニューベルリン工場の先端製造部門を率いるKyle Chadekは述べました。「しかし、当社の業務を改善し、高度な製造技術に携わりたい若い従業員にアピールするという我々の長期的な計画にも合致していました」

Chadekと彼のチームは、ロボットによる自動化の最初の導入は、ドライブが最終的な機能検査後に処理される場所であると判断しました。この非常に反復的で、単調でありながら、細かい作業は、オペレータがドライブモデルを記録し、IO検査ボード上の27本のねじを緩め、全ての試験データを記録する必要がありました。ねじを緩めることは、オペレータにストレスを与え、再使用可能な検査ボードを損傷する傾向がある物理的に困難な作業でした。

オペレータが複数のステーションに分かれていたため、検査後の処理もまたボトルネックになり、検査されたドライブがラインの次のステップに送られる前にアイドル状態になることがよくありました。タスクを自動化することにより、ステーション全体の流れが改善され、オペレータは他の製造タスクをより一貫してサポートできるようになります。

自然な選択

ABBグループ内でロボット事業が確立されていたため、Chadekは手近なところで情報収集プロセスを開始できました。システム設計、インストール、コミッショニングを共同で行うバリュープロバイダー(システムインテグレーター)の選択はそれほど明白ではありませんでした。複数の推奨候補にインタビューした後、ABBは、ドライブ施設のすぐ近くにある経験豊富で革新的なインテグレーターであるIAS Inc.を選択しました。

ABBのロボットエンジニアスタッフと一緒に、IASとABBドライブの生産チームは、検査後過程システムに最適なロボットと周辺機器を決定するために、評価と発見のプロセスを開始しました。

実行可能なロボットの評価には当初、小型6軸アームロボットが含まれていましたが、空間的制約とロボットが複数の多様なタスクを処理する必要性から、IASは双腕のIRB 14000 YuMi®協働ロボットを推奨しました。

「YuMiは、2本のアームが平均的な人間の胴体の大きさのボディに取り付けられているため、以前手作業のオペレータが占めていた作業スペース内に収まることができます」とISAプロジェクトマネージャーのDavid Taschke氏は述べました。「各アームに専用のツールを使用することで、YuMiは独立して複数のタスクを実行することができます。また、両アームは連携して、単腕よりも複雑なタスクをより速く実行します。この能力により、システムの処理能力が向上し、ツール変更の必要がなくなるため、プログラミングが単純化されました」

さらに、工場フロアの通行量の多い環境では、YuMiの協調性により、安全柵が不要となりました。システムに関する問題は、安全柵を通過せずにロボットにアクセスする作業者が迅速に対処することができます。

YuMiは、軽量で硬質なマグネシウム骨格を持ち、フローティングプラスチック製のケーシングは軟質のパッドで覆われ、衝撃を吸収します。同僚との衝突などの予期せぬ衝撃を感知した場合、YuMiは、ミリ秒以内に動作を一時停止します。リモコンの再生ボタンを押すような感覚で容易に動作を再開できます。

ロボットによる検査後過程

ABBの各ドライブは、特定のアプリケーションに適応させる付加価値のあるコンポーネントの最終組み立ての前に一連の検査を受けます。合格すると、加熱炉内のファンでストレス検査が実施されます。検査が完了すると、ドライブは炉から手動で取り出され、コンベア上に置かれ、YuMiロボットに送られます。コンベア上のセンサが次のドライブを列から解放すると、アクチュエータがそのドライブをロボットの前に固定します。

ロボットの右アームに組み込まれたビジョンシステムは、ドライブ上のバーコードをスキャンして特定のユニットを識別し、情報を記録し、テストデータベースとインターフェースしてドライブが検査に合格したことを検証することにより、検査後過程を開始します。また、スキャンはドライブのフレームサイズを決定し、4つの異なるフレームサイズごとに構成が異なるドライブ前面の27本のネジの位置を識別する2回目の一連のスキャンを開始する場所をロボットに通知します。

ロボットがネジのXおよびY位置を確立すると、Atlas-Copcoマイクロトルクスマートドライバを装備した左アームが、27本のネジをそれぞれ緩め、テストプレートを解放します。その後、右アームの真空グリッパがテストプレートをピックし、別のドライブに再利用するためにコンベアに配置します。

検査結果に基づいて、PLCは、ドライブの搬送先を決定します。検査に合格したドライブは、最終製造コンベアに送られます。不合格のドライブは、テストプレートが損傷を受けていない状態で、リワークコンベアに搬送されます。

パフォーマンスの向上


開始から終了までのプロセス全体は、2分半を要します。これは前の手動プロセスの処理量に匹敵します。

しかしながら、システムの一貫性が主な利点です。検査ステーション内のフローが改善されたことに加えて、ロボットをこのタスクに割り当てることにより、手作業のオペレータは生産性の貢献がより大きいライン上の別のエリアに移動することができました。検査データベースとの自動化されたインターフェースは、時折記録エラーを起こす傾向があった手動プロセスよりも正確です。

全体的な品質の向上により、スクラップが減少しました。YuMiのビジョンシステムによって生み出された精度により、ビットが各ねじに正確に係合することが可能になり、本来システムに設計されていたように、他のアームがねじを安定させるためのガイドを保持する必要がなくなります。YuMiと統合されたスマートツールには力トルクセンサがあり、ロボットが検査ボードを外すのに必要な正確なねじ回転を確実に実行できます。手作業のスクリューガン操作者によるねじの緩め過ぎまたは緩め不足により、テストプレートとネジを損傷し、遅延が発生するという問題がしばしば発生しました。

「1年が経過し、ロボットによる自動化への最初の一歩は成功したと言えます。検査ステーションは、いくらか粗雑な場所でした。今ではロボットが提供する一貫性により、生産ライン全体がよりスムーズに稼動しています」とChadekは述べました。「IASとABBロボットエンジニアの協力は、最初の協議と設計段階から設置と微調整まで見事なものでした」

生産性を考慮した設計

Chadekは、ABBドライブ生産チームは、製造性重視設計について多くのことを学び、これは、さらなるロボットによる自動化の追求に役立つだろうと付け加えました。例えば、端子ブロックの初期の皿頭ネジの溝は、ロボットの工具ビットにしっかり係合するにはきつすぎました。ビット自体の改造、大きい溝のねじの採用より、ビットのガイドが不要な工程改良に貢献しました。これにより、ねじを回すアームはもう一方のアームがねじガイドを所定の位置に配置するのを待つ必要がなく、サイクルタイムが向上しました。

さらにドライブが導入されると、設計チームは、ターミナルブロックおよびその他のコンポーネント固定具の構成バリエーションを確実に制限し、自動組み立てをより容易に促進できます。

「我々は、ロボットによる次なる自動化に最も影響を与える分野を積極的に見直しています」とChadekは延べました。「この第1ラウンドから得られた知識により、我々は、経験、自信、今後も継続するための熱意を持っているのです」

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