ロボットはABBの持続可能なモビリティへの道を切り開きます

ロボットはABBの持続可能なモビリティへの道を切り開きます

ABBは鉄道車両、eバス/トロリーバス、eトラック用のエネルギー貯蔵システムを製造しています。スイスのバーデンにある新しい生産工場は、持続可能なモビリティの将来のための鍵となる技術への重要な投資です。

チャレンジ
電気自動車に使用される精密なエネルギー貯蔵システムの製造のための、高精度で安全な組立およびレーザ溶接設備の設計。

ソリューション 
ABBは、オフラインロボットプログラミングおよびシミュレーションツールであるRobotStudioの機能を活用し、独自の専門知識を利用して高度な未来の工場を設立しました。バーデン工場には高性能ロボットが設置され、組立と溶接プロセスの信頼性、最終製品の高品質を確保しつつ、精密なタスクへの人間の介入を最小限に抑えます。

アプリケーション
IRB 4600ロボットが、バッテリセルをモジュールに配置し、IRB 6620が、レーザ溶接によりセルを接合して完全なバッテリを形成します。

この生産工場の基本的な特徴は、非常に複雑な組立およびレーザ溶接設備で、2台のABBロボットが高い安全性と品質の要件を確実に満たしています。ABB独自のシミュレーションおよびオフラインプログラミングソフトウェアRobotStudioのおかげで、工場のコミッショニングは迅速かつ円滑に実行されました。

エネルギー貯蔵システムは、道路および鉄道輸送の電化および脱炭素化に重要な役割を果たしています。効率的なエネルギー貯蔵は、eバスおよびeトラックの運行にとって基本的な要件であり、例えば、回生によって生成される制動エネルギーを貯蔵することを可能にします。エネルギー貯蔵システムを車両に統合することにより、ディーゼル車両をディーゼルハイブリッド車両に改修することができ、CO2排出量を最大30%削減できます。このように、この技術は、より持続可能なモビリティを実現するために、輸送事業者に車両フリートを改修するための多くの選択肢を提供します。

自動化ソリューション:組立およびレーザ溶接の複合設備

通電した精密なバッテリセルを取り扱うには、高い精度と再現性だけでなく、生産工程に携わる作業者の最大限の安全性が求められます。ABBは、これらの要件が確実に満たされるために、独自の技術とノウハウを利用しています。世界中の専門家が協力し、2台のABBロボット(IRB 6620およびIRB 4600)を備えた複雑な組立溶接工場を設計しました。ロボットの1台は、バッテリセルをモジュールハウジング内に配置し、もう1台は、高精度のレーザ溶接プロセスによりそれらを接合します。

モジュールハウジングを組み立てるには、非常に器用で精密な力制御が必要です。それだけでなく、組立セル内のロボットもまた、プロセスの開始時に迅速なサイクルで様々なタスクを完了しなければなりません。作業者は、ポリスチレン容器に埋め込まれたセルをトレイを介して密閉システムに挿入した後、IRB 4600 6軸ロボットが作動します。まず、各セルのQRコードをカメラで読み取り、次に電圧を測定して入荷検査を行います。測定値に差異がある場合、バッテリセルは自動的に拒否されます。また、ロボットは正しい極性かどうかをチェックし、必要に応じてセルを回転させます。

この後、ロボットはセルをピックアップし、タスクのために特別に設計された触覚グリッパを使用して、セルを適切なモジュールハウジングに挿入します。ここでは、通電しているリチウムイオンセルの間が数ミリメートルしかないため、非常に高い精度が求められ、互いに接触させてはなりません。スタンピング機構を有するグリッパの設計により、これが可能になります。

このシステムは、手動による介入がほとんど不要で、安全な人間とロボットの作業環境が確保されるように設計されています。スキャナは、作業者がバッテリセルとモジュールハウジングをトレイに挿入したことを認識します。これは、セルが溶接される前の場合でも同様です。モジュールが完全に組み立てられると、作業者は引き出しを開き、対応するコネクタを取り付け、引き出しを再び閉じることができます。次に、ロボットは、モジュールをレーザ溶接システムに移送し、そこで、遠隔レーザ溶接によってセルが恒久的に接合されます。こうして、長持ちするバッテリモジュールが作られます。

システムは、1時間に5つまでのモジュールを生産することができ、手作業と比較して膨大な時間を節約します。モジュールを手作業で溶接するには、少なくとも1時間を要します。ロボット化されたプロセスによって生成される溶接線の比類のない精度については言うまでもありません。さらに、電圧測定と逆極性保護が完全にテストされています。

RobotStudioシミュレーションによるスムーズなコミッショニング

工場は、生産開始時に発生する可能性のある潜在的な障害を特定し、排除するために、コミッショニング前にコンピューター上でバーチャルで稼動させました。その過程で、ABBは独自のノウハウを活用し、ロボットを制御するオリジナルソフトウェアの正確なコピーである仮想コントローラ上に構築された独自のシミュレーションおよびオフラインプログラミングソフトウェア、RobotStudioを使用しました。デジタルツインは、実際の生産で使用されるものと同じデータと構成を使用するため、現実的なシミュレーションを作成できます。RobotStudioは、広範なプログラミング知識を全く必要としません。

特に革新的な要素は、RobotStudioがインターフェイスを介して仮想PLCにも接続されていることです。これにより、仮想テスト環境において両方のシステムを統合し、あらゆる角度からの潜在的な障害を分析し、初期段階でそれらを修正することが可能になりました。これにより、より迅速でトラブルのないコミッショニング段階が可能になりました。もう1つの利点は、非常に複雑なシステムが監視制御システムと通信する方法です。これは、オープン通信規格OPC-UAを使用して行われます。OPC-UAは、未来の工場向けの先進的な技術であり、これにより、膨大なデータを迅速かつとりわけ安全に転送することが可能になります。


ABB Ability™ Manufacturing Operations Management(MOM:製造オペレーション管理)パッケージは、Manufacturing Execution System(MES:製造実行システム)として使用されます。このソフトウェアは、プラント管理、データ分析、レポート作成の実行においてユーザをサポートします。また、製造プロセス中に記録されたデータが確実かつ安全に保存され、大容量で送信されることを保証します。

高度な防火コンセプト

高エネルギー密度で精密なリチウムイオンバッテリの取り扱いは容易ではありません。誤って操作すると、セルが破損したり、最悪の場合は発火したりさえする可能性があります。そのため、工場の設計にあたっては、高精度で信頼性の高いプロセスに加えて、インテリジェントな安全防火コンセプトの開発が注目されました。万一火災が発生した場合、従来の消火対策では不十分なため、これは特に重要でした。そのため、工場には、数秒で消化できる特殊なエアロゾル薬剤を含むいくつかの消火器ジェネレータが取り付けられています。


プロセスの最後に、完全に組み立てられたバッテリモジュールは、新しいABB生産工場でエネルギー貯蔵システムに組み込まれ、それぞれの特定の用途に応じて構成されます。ABBは、同工場で年間最大1万モジュールの生産を計画しており、持続可能なモビリティ製品のさらなる拡大を目指しています。自動化されたプロセスは、これを達成するために必要な柔軟性、拡張性、および安全性を提供します。また、上流および下流の生産工程の自動化をさらに進めていきます。

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