大手多国籍乳製品メーカーFonterra 社はニュージーランドのオークランド州タカニニの施設にある加工・包装ラインの電源保護ソリューションを必要としていましたが、ABBが提供するソリューションにより瞬時電圧低下や年間4回以上発生している電力品質イベントをなくし、年間推定20万ドルのコスト削減を実現しました。
Fonterra 社のタカニニ工場
Fonterra 社は、世界全体で年間 220 億リットルの牛乳を生産しています。これほどの量の牛乳を生産するには、当然のことながら最高のソリューションを配備し、Fonterra社が世界中のお客さまや消費者に本物の価値を提供できる方法で高品質な牛乳を製造できるようにする必要があります。オークランドの工場では、生乳や UHT 牛乳、発酵乳など様々な製品を、ニュージーランドでも人気のブランド向けに製造しています。このような製品を製造するのに必要なリソースは、ニュージーランドの自然環境のみならず、Fonterra 社のタカニニ工場で使われている設備からも生まれます。
この工場で製造されている UHT 牛乳と UHT クリームの9 割以上が、中国、シンガポール、フィリピンを含むアジア太平洋地域に輸出されています。世界の UHT 市場の急激な伸びを受け、UHT 処理及び包装を行う設備の拡張と更新を行った結果、現在この工場は 30~40MW の電力を使用するようになりました。 この電力の大半は、1日当たり75 万リットル、1 秒当たり6.4 本の牛乳を製造し、パックする工場の生産ラインの大きな AC ドライブやモータに使用されています。
製造停止時間を最低限に縮小
問題の原因は短時間の電圧低下によることがほとんどで、外部電力会社の電力網の故障やイベントによって発生しています。問題が発生すると、牛乳が消費者の使用に十分な程度殺菌できている保証がないため、廃棄したり、再処理をしなければならなくなります。ニュージーランドFonterra 社の Brand Group Automation andControl Manager である Peter Williams 氏は、Fonterra 社の電力品質イベントの影響についてこう話します。「工場で電力障害が起こった時には、全部で 4時間ほどかかる殺菌プロセスをもう一度すべてやり直さなければなりません。このようなイベントが 7 本の製造ラインで発生すれば、28 時間分の生産停止になり、事業には 5 万ドル前後のコストがかかることになります。こういったことが 1 年に 2 回、3 回、4 回と起こります」
ABB の電源保護ポートフォリオの一部である PCS100アクティブ電圧コンディショナ (Active Voltage Conditioner:AVC) は、Fonterra 社の工場内での電圧障害を緩和し、不要な生産休止と廃棄される乳製品の量を最小限に抑えることができます。「年間 50 万ドルの節約になると考えています」と Williams 氏は言います。
Fonterra 社が ABB のPCS100 AVC の導入に踏み切ったのは、ABB が持つ世界的なネットワークとその製品の信頼性のためだといいます。Williams 氏はさらにこう述べています「弊社には、ABB の製品を使用した経験があり、非常に高い信頼を寄せています。デューデリジェンスを行い、工場に設置することにしたのです」
PCS100 AVC のさらなる利点として挙げられるのは、蓄電装置が不要なため、非常に低い所有コストで稼働率99% を維持できるということです。フットプリントが小さいことから、Fonterra 社の機械室の閉鎖空間にも置くことができるということも、電力保護用の装置に広いスペースを割くことができない工場にとっては理想的なソリューションとなっている一因です。
実証済みの成果
PCS100 AVC を導入して 4 カ月の間に、Fonterra 社では電力品質イベントに 5 回遭遇しました。しかし PCS100AVC のおかげで、工場の UHT 区域はいずれのイベントでも生産を続けることができました。工場の中でも PCS100AVC に保護されていなかった区域では生産は中止されました。
Williams 氏によれば、1 回の瞬時電圧低下イベントによって、5 万ドル前後の損失が発生する可能性があるといいます。当初の予想では、装置導入のコストは 12~18 カ月で回収できると考えていましたが、3カ月で投資を回収できたことは「喜ばしい」と語ります。「経費に対するこれほどの影響はある種のボーナスです」Williams 氏によれば、別の FBNZ プロジェクトの一環として、電力保護装置をさらに導入する計画も進んでいるといいます。
Williams 氏は、将来的に Fonterra 社が ABB の製品をほかの場所の電力品質を改善させるために利用する計画があるといいます。「必要な供給安定性を確保するために、これまでに多少は、ほかの UHT サイトでも同様のソリューションを使用することを検討してきました。弊社のミッションは、世界で最も信頼される栄養の源の提供者になることで、ABB の製品はその過程で不可欠なものとなっています」
ABB は PCS100 リアクティブ電力コンディショナを、ニュージーランド・パイアトゥアにある Fonterra 社のミルクパウダー工場に導入する計画です。PCS100 RPC は、工場内の製造設備が原因で発生する電力品質問題を緩和するのに役立ちます。パイアトゥア工場は 8 月から 6月までの間稼働し、北部のホークス湾から南部のワイララパやウェリントンの農場から集められる 1 日 140 万リットルの牛乳を加工し、年間55,000トンの全粉乳を製造しています。Fonterra 社では現在 2 億 3,500 万ドルの乾燥機をこの工場に建設している最中です。このプロジェクトには、35MW ガス火力ボイラーが含まれ、2016 年には生産能力を 240 万リットルに拡大します。
Fonterra 社について
本社をニュージーランド・オークランドの施設に置き、世界中で事業を展開する協同所有会社である Fonterra 社は、世界最大の乳製品輸出企業で、100 カ国を超える国々でその製品が販売されています。