全てのスポーツイベントの主役であり中心にあるのはもちろん出場する選手達です。しかし、現代のイベント運営は、驚くほど多くのテクノロジーによって支えられています。そして、そのテクノロジーは停止することなく常に機能している必要があります。例えば金メダルが数分の1秒で決まるような場合、測定器に不具合が発生することは許されません。そのためには、この測定器に電力を供給する無停電電源装置(UPS)システムには障害が発生してはなりません。
この100%稼働率の追求と、これまでの優れた実績が、有名な国際スポーツイベントのUPSのサプライヤとしてABBが選ばれた2つの理由です。
このプロジェクトの遂行は困難なものでした。ABBは、設計から現場での試運転まで、信頼性の高い検証済ソリューションを地理的に分散した複数の会場に提供する必要がありました。その中には、競技会場だけでなく、国際的報道機関向けの放送センターなどもありました。100台以上の大型三相UPS(SGシリーズIEC 400V、最大500kVA)、VHシリーズIECやPowerValue 11 RT G2(IECおよびUL)などの2500台以上の単相UPS、90台のELDSeHouseなど、膨大な数の機器がこのプロジェクトには含まれていました。
グローバルパワープロテクションサービス組織から60人を超える上級UPSエンジニア、10人のプロジェクトマネージャー、および10人のプロジェクトコーディネーターが、会場に立ち会い、競技中の不具合に備えてオンサイト支援を提供しました。さらに、災害復旧機能を備えたミッションクリティカルデジタルプラットフォームが提供され、インシデントを防止し、会場でのすべてのサービスオペレーションを推進しました。
このプロジェクトにおいて、ABBのプロジェクトチームはパワープロテクション部門の国を超えた強力なコラボレーションを発揮しました。10カ国以上の拠点がサービスリソースの共有に貢献し、ABBは非常に強力なチームを編成することができました。 ABB組織間で効果的にリソースを共有するためには強力なプロジェクトマネジメントが不可欠であり、スイスのクアルティーノUPS工場との強固な関係が膨大な機器数と厳しい納期を達成するためには極めて重要でした。
プロジェクトチームがすべての必要な職務を遂行できるように、現地および遠隔で研修・教育プログラムが実施されました。さらに現地パートナーにも研修を提供することで、幅広いサービスエリアをカバーできるようにしました。
このプロジェクトを契機に、ABBは現地の強力なUPSサービスチームを構築し、将来のビジネス拡大に向けたレガシーとして残すことができました。また、安全を重要視してプロジェクトを遂行したことで、インシデントの発生数をゼロに抑えることができました。
機器の動作環境も厳しいものでした。競技中、いくつかの設備は最大容量で稼働していました。また設置スペースが限られていたため、一部のコンテナソリューションは二分割し、配置の柔軟性を提供し高温多湿に対応させる必要がありました。そして冷却システムの二重化が不可欠でした。
設備は完璧に機能し、主催者は大変満足し、イベントは成功裏に閉幕しました。