筒内圧センサ/圧力センサ/シルメイト

情報技術の発展が急速な勢いで進んでいく中、様々な業界において最新の技術導入が求められてきており、海運業界においてもこのあおりを受け様々な技術導入が進んできております。その中でも船の動力源となるエンジンは船舶の心臓部であり、エンジンの技術発展は、海上輸送における船舶の運航に直結するため、非常に重要な課題の一つであります。近年、船舶エンジンは電子制御化が進んでおり、いまや電子制御のエンジンが業界の標準となってきております。このエンジンの電子制御化において筒内圧センサは無くてはならいセンサの一つとなっています。

エンジンの電子制御を行うために、筒内圧をモニタリングすることは最も重要なことと言えます。この筒内圧の測定はエンジンを電子制御するための測定だけではなく、燃料噴射や排気弁の開閉タイミングを最適化や燃費改善に貢献し、近年厳しくなってきている環境に対する排ガス規制への対応、更にはエンジンの予防保全にもつながる役割を果たしております。

ABBの筒内圧センサはCylmate（シルメイト）と呼ばれ、現在まで10,000台以上のセンサ、1,000以上の船舶に納入されております。過酷でかつ休むことなく24時間常に動き続ける船舶エンジンの圧力を測定しなければならない環境において、最も適したセンサの一つがこのCylmate（シルメイト）です。このような要求に応えるために、Cylmate（シルメイト）は非常にユニークな測定原理を使用しております。それは1953 年、ABB の前身であるASEA社が開発、特許を取得した磁歪式計測技術：Pressductor Ⓡ技術です（下記参照ください）。この測定原理は、船舶エンジン同等以上の過酷な環境である製鉄業界向けにABBが提供しているセンサであるロードセルで多数使用されており、安定して長年使用して頂いております。そのため、船舶エンジンにも適したセンサであることは間違いありません。

1.  PressductorⓇ（磁歪式）原理のセンサ(青色配線：1次コイル、赤色配線：2次コイル）

2. 1次コイルに電流を流すことにより青い点線のように電磁場を生成

3. チューブ内に燃焼ガスが流入

4. 燃焼ガスが流入しセンサ筐体に力が伝わる

5. センサコア部に力が到達し、この力が1次コイルの磁界を変化させ、変化した磁界を2次コイルで検出

・測定精度は燃焼ガス内に含まれる煤の目詰まりによる影響を受けません（膜式センサでは煤の目詰まりによる受圧面積の変化が測定に影響します）。

・測定精度は燃焼ガスの熱による熱膨張の影響を受けません（膜式センサでは、熱により圧力を受ける膜部分が変形し測定に影響します）。

・測定センサ部に可動部がないため、経年劣化が測定へ影響を及ぼしません。

・設置後の校正は全く不要で定期的な校正も必要としません。

・電気的な校正も不要なため、メンテナンスフリーで使用頂くことが可能です。

・センサ部にはニッケルを主体とした合金を使用しているため、耐高温、耐酸性、耐腐食、耐強度性に優れています。

校正レンジ

複合エラー（総合精度）

(感度ドリフト, 直線性偏差とヒステリシス)

最大負荷

センサ最大許容温度

電気品最大許容温度

ケーブル長

保護等級

保証期間

製品寿命

0–250 bar

<±0,5 %

600 bar

260 °C

70 °C

4 m

IP65

5 years（設置、使用上に問題がない場合）

10年以上（実績ベースから）