最新のレーザ分析技術を応用した、革新的なガス分析計です。ABB独自の特許技術であるOA-ICOS法を用いることで、ppbレベルでのガス分析を可能とします。
製品概要
OA-ICOSTM型レーザ分析計はCRDS(注)を採用した分析計開発のパイオニアであるLos Gatos Reserch(LGR)の技術を継承した高精度ガス分析計です。初期のCRDS法から更なる進化を経た分析技術をABBはOff-axis integrated cavity output spectroscopy (OA-ICOS)法として特許取得しており、最先端の波長可変半導体レーザ(tunable diode laser)分析技術として業界をリードしています。従来のCRDS法やその他のレーザ吸光分析と比較し堅牢性と扱い易さの面で大きな優位性のあるOA-ICOSTM法は高いパフォーマンスと信頼性のある分析をお客様に提供します。
注:Cavity ring-down spectroscopy
特長
- ppbレベルの微量分析が可能
高反射率のミラーを用いることで、非常に長い光路長(1000メートル以上)を実現します。
- フィールドでの運用にも対応可能な高い堅牢性
ABB独自の多変量解析技術などによって、温度や圧力、振動などの外的要因に対する高い耐久性を獲得することに成功しました。これによって、分析室での使用は勿論、屋外での移動を伴うアプリケーションにおいても、測定対象成分の微量分析を可能としています。
- 他成分からの干渉が非常に少ない
上記の解析技術に加え、高分解能ダイオードレーザなどを組み合わせることによって、サンプル中の他成分からの干渉効果を除去し、選択的・高精度なガス分析を行うことが可能です。
- 短い応答時間
T90 は10 ~ 30 秒未満と非常に短く、プロセス制御やリアルタイムでの雰囲気測定などのアプリケーションに有効です。
- メンテナンスが少なく、容易な設計
堅牢性の高い光学系は、振動や温度、圧力などに対する高い耐久性を有しており、長期でのメンテナンスフリーな運用が可能です。フィルターやダイアフラムなど部品も交換が容易な設計となっているため、ABBのサービスエンジニアが速やかに交換対応いたします。
- リモートメンテナンス対応
ABBのサービスエンジニアが遠隔からアクセスし、分析計の状態診断を行うことが可能です。トラブルの原因を正確かつ速やかに特定することで、早期のトラブルシューティングを実現します。
Off-axis integrated cavity output spectroscopy (OA-ICOS)の原理
ABBが特許を取得したOA-ICOSTMはレーザを用いた他の分析手法と比較し多くの優位性があるだけではなく、産業界で実績のある他の分析手法(注)の代替になり得る最先端技術とみなされています。注:酢酸鉛テープ式、鏡面冷却式、非分散赤外線(NDIR)、FT-IR、電気化学セル、ガスクロマトグラフ、磁気式、質量分析計等
Cavity enhanced absorptionはLGR(ABB)の創業者であるAnthony O’Keefeによって1988年に発明され、キャビティリングダウン分光法(Cavity Ringdown Spectroscopy, CRDS)として認知されるようになりました。CRDSは、光源をレーザパルスとして、測定対象が導入されるサンプルセル内を、レーザが反射・減衰する時間をもとに対象成分の濃度を測定する手法です。高反射率のミラーを用いることによって、数十センチのサンプルセルで1 km以上の光路長を達成することができ、ppbレベルの微量分析を可能としています。
しかし、初期のCRDSは革新的ではあるものの、ナノメートルレベルの光学系アライメントが要求され、温度・圧力の変化や振動への脆弱性も伴い、信頼性やコストの面でも難がありました。ABBのOA-ICOSTMはこのような課題を克服すべく開発された手法であり第四世代のCRDS法に位置付けられます。アライメントや温度・圧力変動の影響は桁違いに改善され、危険場所や人の手が届かない遠隔地等の厳しい環境下においても信頼性の高い超高精度分析を提供します。
適用産業・用途
・天然ガス、ガス事業者
・半導体
・紙・パルプ
・用水・廃水
・石油化学
・大気測定
・環境分析
・R&D
測定対象成分
測定可能な成分の一部を以下に記載します。
・メタン(CH4)
・エタン(C2H6)
・硫化水素(H2S)
・硫化カルボニル(COS)
・塩化水素(HCl)
・フッ化水素(HF)
・アンモニア(NH3)
・一酸化炭素(CO)
・二酸化炭素(CO2)
・酸素(O2)
・水(H2O)
・アセチレン(C2H2)
・一酸化窒素(NO)
・二酸化窒素(NO2)
・同位体分析
※ 測定可能な成分の組み合わせや測定範囲は、分析計のタイプと測定条件によって異なります。まずはABBのコンタクトセンターまでお気軽にお問い合わせください。