冶金学の最先端を行く:Hongliang Yangさん

Hongliang Yangさん が中国のノースイースタン大学でプロセス冶金学を学び始めたとき、彼の運命は動き始めました。 現在、Yangさんは 20 年にわたる経験と好奇心をもとに、ABB冶金事業のお客さまの可能性を広げています。

このページをシェアする

持続可能性の目標を達成する方法を学ぶ

お問い合わせ
ABBの冶金事業は、長年、R&D への献身的に取り組んできました。Honliang Yangさん は、2001 年に電気物理学の博士号を取得して以来、ABB の金属事業の革新に貢献してきました。過去7年間、彼は金属研究開発チームを率い、現在は7人の研究者と共にスウェーデンとポーランドの拠点で働いています。

ABB冶金事業R&DチームリーダーのHongliang Yangさん

チームの目標は、冶金学の持続可能性を促進し、既知および新興の合金の効率的な生産を可能にすることです。新しく改良された冶金プロセスの研究の中心は、炉を含む冶金設備の設計と、ABB に不可欠な溶融ミキサーである電磁撹拌装置 (1930 年代にルードヴィッヒ・ドレフュス博士によって発明された EMS) を繰り返し調整し統合していくことです。

ここでYangさんは、物理学に対する彼の情熱と、金属業界における ABB の進化し続ける挑戦について語ります。

冶金分野で働くようになったきっかけは?

Hongliang Yang: 私は当初、金属を扱う仕事ではなく、物理学者になること考えていました。当時中国にいた私は、希望ではなかった冶金研究所に派遣されました。そこで私は中国でプロセス冶金学の教育を受け、博士課程の途中でスウェーデンに移りました。ABB は私のスウェーデン留学のスポンサーであり、私はそこで電磁撹拌装置に関するあるプロジェクトに携わりました。最終的に、冶金プロセスにおける電磁撹拌の数値シミュレーションに関する論文で、物理学の博士号を取得しました。その後、電磁撹拌装置の研究を続けるのは私にとって自然なことで、最初は応用物理学と数学の両方を必要とする計算流体力学と計算電磁気学に取り組みました。

物理学の何が魅力ですか?

物理学において、想像力に制限がありません。私は若い頃、自分には物理学のセンスがあり、研究の面で何が面白いかについてのアイデアも持っていました。私は自分で実験をしたり、有名な物理学者の研究についての書籍を読むのが好きでした。物理学では、自分の興味のある研究や分野に全知全能を傾けて、限界を超えることができます。それが醍醐味だと思います。

物理学で克服を試みた冶金学の課題は何ですか?

金属産業は非常に古く、1000年の歴史があります。そして今日でも、製鉄プロセスや金属産業の多くの技術は経験に基づいています。冶金プロセスの一部では約 1500 度の非常に高い温度となるため、コンピュータのように物理学に基づいてすべてを設計できるわけではありません。そのような高温で何が起こっているのかすべてを想像することはできないため、そのプロセスの予測は非常に困難です。

ABBは100年以上の経験を活かし、金属メーカー、相手先ブランド製造(OEM)、その他のサプライヤと協力して、生産を最適化し、持続可能性、品質、安全性を向上させる、プロセス固有のカスタマイズされたソリューションを開発しています。

私たちは理解して発見したことを基にシミュレーションを行うことができますが、同時に、新しいアイデアや発明は、その先に進む前に実際に使用しテストする必要があります。そのプロセスは非常に長くなる可能性があり、アイデアから概念の実証までには 5 年、10 年、さらには 20 年かかる場合もあります。

「開発をもっと急いでもらえないか?」と言われるかもしれません。市場投入までの時間は重要ですが、それは新しい種類の自転車や自動車を作るのとはわけが違います。今日では、新しい自動車はすぐに設計できるようになりました。撹拌装置は自動車よりもはるかにシンプルに見えるかもしれませんが、お客さまに取り付けて使用いただき実証する必要があるため、開発には時間がかかります。
 

現在どのようなプロジェクトに取り組んでいますか?

もちろん、私たちは同時に複数のプロジェクトを抱えています。メーカーがグリーンスチールの生産方法を検討するなか、私たちは製品をこの新しい産業に適応させなければなりません。たとえば、グリーンスチールは電気アーク炉 (EAF) と関連付けられています。EAF は現在スクラップ金属から鉄鋼を生産しており、再生可能な電力で電力を供給することができます。関連する課題として、下流工程 (鋳造・圧延) をいかにコンパクトにするかということです。EAF の生産速度は他の炉に比べてはるかに速いため、設備をより柔軟に稼働させることで、その生産量に見合った下流工程をより柔軟にしていく必要があります。

私たちのもう 1 つの焦点は、デジタル化と金属製造におけるインダストリー 4.0 の可能性の実現です。 3 つのポイントとして挙げられるのは:新しいさまざまな種類のセンサーを使用した測定、データを収集ポイントに転送、データから興味深い情報や有益な情報の抽出、です。私たちは金属産業で働いており、一部の反応は予測できない可能性もあるため、測定は非常に重要です。人々はさまざまなセンサを使用して非常に優れた測定技術を開発してきました。例えば、あるプロジェクトでは冶金プロセスの温度を測定するために光ファイバーを使用しています。そして、データを収集、分析し、それを使用して機器を制御したり、新しい製品を作るための新しいアイデアを得ることができます。

それはとても刺激的ですね。開発チームのリーダーとして一番楽しいことは何ですか?

私はさまざまな新しい技術や興味深い人々と触れ合っています。私はとても好奇心旺盛な人間です。新しいアイデアを使って仕事をするのが好きで、あまり繰り返しの作業が好きではありません。研究開発の仕事をしていると、常に新しいものを作ることができます。

普段の一日はどのように過ごしていますか?

私は約 20%を日常業務の処理、チーム メンバーとのコミュニケーション、さまざまなタスクの分散に費やします。そして、20%‐30% がコラボレーション・パートナーとの会議とディスカッションの時間です。さらに、いくつかのプロジェクトリーダーを務めていますので、組織化と計画などプロジェクト管理にかなりの時間を費やします。

金属業界に変革をもたらす可能性のある開発にはどのようなものがありますか?

イーロン・マスク氏が、テスラ車の製造を開始したとき、彼はコスト削減という非常に大きな一歩を踏み出しました。通常、車体には非常に多くの部品が使用されおり、これらすべての部品を扱うと自動車製造コストが高くなります。マスク氏は、はるかに少ない部品を使用してアルミニウム製の車体を製造しました。そしてそれを実現するために、彼はダイカストと呼ばれる非常に古い技術を使用しまし、わずか数個のコンポーネントで車体を鋳造しました。鋳造機は巨大で、高さが 10 メートルにも達するため、メガキャスティングと呼ばれる方法です。おそらくこの技術がアルミニウム事業に変革を起こすと思います。ABB は鉄鋼業界とアルミニウム業界の両方に携わっているため、溶融アルミニウムを鋳造するこの新しい方法は産業界に大きな刺激的を与えます。

鉄鋼業界では、グリーン・スチールの製造が革新的なもになるでしょう。

しかし、鉄鋼に関しても、小規模ながら鋳造への新しいアプローチが見られます。メガキャスティングの対極にあるもので「スチール・ミニミル」と呼ばれるものです。より多くの国内需要に応えるために、より小型の鋳造機を作ろうとしています。何十年もの間、エネルギーや鉄を還元する化学プロセス用の石炭などの原材料を輸送し、製品を出荷するために、製鉄所を海岸に建設する必要がありました。しかし、石炭の代わりに電力で稼働するスチール・ミニミルの鋳物工場は、市場に近い場所ならどこでも操業できます。新しいEMS技術を開発することで、ミニミルの柔軟性と生産性の向上に大きく貢献できるのです。

このように金属業界に変化をもたらし、コストを削減できる可能性があります。.

ABB では、大小さまざまなこれら 2 つの新しいテーマに対応した製品の開発を検討しています。

関連ページ

  • お問い合わせ

    ご質問内容などをご入力の上、お送りください。 担当者より折り返しご連絡いたします。

    お問い合わせ
Select region / language