HiPerGuard MV UPS テクニカルデータ

 備考 
適用電圧 7.2 kV IEC (6 - 6.6 kV)
12 kV IEC (10 - 11 kV)
15 kV ANSI (12.47 - 15 kV)
24 kV IEC (20 - 24kV) 
 
装置容量2.5 MVA / 2.5 MW1ユニット容量 
出力電圧調整機能対応 
出力電圧性能IEC62040-3 クラス1相当  
装置構成並列接続 最大10ユニット 
装置効率98% 
蓄電媒体リチウムイオン電池 

 

2種類の電圧補償機能

パワーコンディショニングモード:常時電圧調整機能

パワーコンディショニングモードは、HiPerGuard MV UPSが新しく実装した運転モードである常時電圧調整機能の呼称です。

本運転モードは、UPSが無効電力を出力することで装置に搭載されたリアクトル部の位相角を制御し、UPS下流側への出力電圧を安定化させる機能です。

瞬停や負荷急変に由来する電圧変動の殆どに対して本機能で電圧補償することが可能であり、特に瞬低については蓄電池からの放電に依存しないため、蓄電池の充放電回数を最小限に抑えます。

HiPerGuard MV UPSは高圧 ~ 特別高圧のレンジで常時電圧調整機能を有した唯一の静止型システムであり、インバータを用いた無効電力制御により入力電圧の変動に高速で追従し、遅滞なく電圧調整を実行します。

独立運転モード:蓄電池からの放電機能

独立運転モードは一般的なUPSと同様に蓄電池からの放電によって負荷へ電力を供給する運転モードです。

パワーコンディショニングモードでの対処が難しい、深い瞬低や停電に対して適用されます。

放電時間は負荷容量と蓄電池の搭載数に依存しますが、十数秒から15分程度までの電圧補償を担います。

パワーコンディショニングモードと独立運転モードの切り替えはUPSが自動的に制御します。

この2種類の機能により不要な放電を避けて効率的な電圧保護を実現します。

装置効率

 

従来式の常時商用給電方式UPSに次ぐ、98%の装置効率を有しています。

低圧、高圧いずれのUPSと比較しても最高クラスであり、電力ロスの最小化に寄与します。

出力電圧特性

IEC62040-3 クラス1相当

UPSは装置入力側の電圧変動に対して安定した電圧を出力するための装置であり、出力電圧の安定度合について国際規格のIECで規定されています。

UPSの出力電圧特性はIEC62040-3で定義されており、クラス1はその中でも最も厳格な基準として定められています。

HiPerGuard MV UPSはこのクラス1相当の出力電圧特性を有した、世界で唯一の静止型高圧UPSです。

 

従来式の常時商用給電方式UPSは従来方式のデメリットである「じょう乱」によりクラス1への準拠は難しく、一つ基準を緩和したクラス2相当の性能に留まっています。

クラス1相当の性能を有することにより、HiPerGuard MV UPSは従来式の高圧UPSでは適用できなかったデータセンタ向けの運用も可能となりました。

大容量システム

従来型の常時商用給電方式ではUPSの並列運転への対応は非常に困難でしたが、HiPerGuard MV UPSはZISC構造によりこれを実現しています。

HiPerGuard MV UPSならではのメリットと、システム容量に応じた柔軟なシステム構成を提案いたします。

並列システム

装置を最大で10システムまで並列接続することが可能であり、25MVAの大容量を実現することができます。

本構成の長所を以下に示します。

  • 製造装置の電圧保護を高圧レベルに集約可能
  • 負荷側の事故点を除去するに十分な短時間電流出力性能
  • システム構成の単純化
  • N+1構成によるシステム冗長化が可能
  • N+1構成を採用することで負荷の保護を継続したままメンテナンス作業が可能

システム構成

 

HiPerGuard MV UPSのインバータはモジュラー構成を採用しており、複数のインバータモジュールを並列実装することで1システム当たり25MVAの容量を実装しています。

以下に本構成の長所を示します。

  • プラグインタイプのモジュールによるメンテナンス時間の短縮
  • 故障時の修理対応時間を最小化
  • モジュール単位での冗長化構成

また、インバータモジュールは優れた短時間電流出力性能を有しており、インバータからの電流出力により負荷側の事故点除去が可能です。

これによりUPSが過負荷や過電流によって停止するリスクを低減しています。

インターフェース

 

HiPerGuard MVUPSはタッチパネルによる直観的な操作・運用は勿論、さまざま方法で外部との通信を行うことが可能です。

以下に長所を示します。

  • Webサーバーへの接続やe-mail送信機能
  • ModbusやEthernetによる遠隔監視機能
  • イベント記録機能
  • 電源波形キャプチャ機能

ネットワークへの接続が必要となりますが、PCやスマートホンを介したシステムへの接続を確立することで、電源障害やシステムトラブル時のイベントを遠隔監視できます。

また電源波形をキャプチャする機能を有しているため、データロガー等を用いずに電源障害の記録を波形で取得することが可能です。

参考:静止型UPSとDRUPSについて

主に海外で見られるディーゼルロータリーUPS (DRUPS) との差別化の為に、国内で主に用いられている常時商用給電方式UPS並びにZISC構造のHiPerGuard MVUPSを「静止型」と呼称しています。

 

データセンタ向けの高圧UPSとして、主に海外においてDRUPSと呼ばれるUPSが使用されている事例があります。このUPSは蓄電池の代わりにフライホイールという回転体の運動エネルギーを用います。通常時はフライホイールの回転を維持し、停電時はフライホイールの惰性を利用して短時間発電を行います。これにより連携したディーゼル発電機の始動までの電力を担保するUPSです。リアクトルを用いた構成はHiPerGuard MV UPSのZISC構成と近しい部分が有りますが、回転体のメンテナンス、効率、出力電圧特性といった面で静止型のHiPerGuard MVUPSは優位性があると考えております。

関連ページ

Select region / language