世界中で、ABBの急速充電ステーションが新たに利用されるたびに、すべての人々にとって、電気自動車の価値はより高まり、より実用的なものとなります。
これを、eモビリティにおけるネットワーク効果と呼びます。
世界中で、市民、政府、企業が気候変動の現実に直面するにつれ、クリーンな電気による輸送の長所と価値はこれまで以上に明白なものとなってきています。結局のところ、炭素排出量と温室効果ガスの推定25%は化石燃料を利用した輸送がもたらしたものです。
エレクトリフィケーション、持続可能なエネルギー、eモビリティの世界的リーダーであるABBは、電気バスや電車、ABB Azipod®の電気推進力を利用する外洋航行船など、電気による輸送の大量導入において顕著な役割を果たす稀有な存在です。 また、電気自動車の場合には、ABBの高速充電ステーションはさらなる電化の推進を可能にするものとして登場しました。
自動車のバッテリーに走行距離約200キロ(約125マイル)相当を8分で充電できるABBの高速充電器は、世界中の道路沿いのネットワークに設置されています。 ABBの直流急速充電スタンドは、68カ国に8,000台以上設置されており、着実に増加しています。
電気自動車(EV)に対する市民の主要な関心事である「走行距離に対する不安」を克服することによって、これらの充電ネットワークは、前世紀に化石燃料車を遍在させたガソリン給油所と同じ有用性および利便性を旅行者に提供し始めているのです。
それは古典的なネットワーク効果であると言えます。 電気自動車が増加すればするほど、充電ステーションのオペレータがより多くの充電施設を設置するインセンティブが生み出されます。 それが今度は、他のドライバーが電気に切り替えやすくなる要因となります。 電気自動車および充電器が新たにネットワークに加わるということは、言い換えれば、ネットワークをすべての人々に価値のあるものにしていくことなのです。 また、Terra HPに代表されるABBの高速充電器は、文字どおり「ネットワーク」を意味するものです。 ABB Ability™によりもたらされるデジタル機能により、ABBの高速充電器は、ネットワークに接続されます。これにより電子決済システムへのリンクや中央制御センターからの遠隔監視およびメンテナンスを可能にすることもできます。
世界中で最も注目すべきABBのEV充電ネットワークの成功事例のいくつかをご紹介しましょう。
欧州
二酸化炭素排出量の削減が優先される欧州では、公共政策によって電気自動車と充電ネットワークが支持される傾向があります。
これまでの成果は、水力発電がクリーンで再生可能な電力を供給している北欧諸国で特に顕著であると言えます。 ノルウェーは、完全電気自動車の販売において世界最高のシェアを占めており、22%を超えています。 ABBはノルウェーの最大のバスのフリートに対して高速充電器を供給しており、500台以上の車載充電器も提供しています。
化石燃料は依然として総エネルギー使用量の20%を占めていますが、アイスランド政府は電気自動車の使用を増やすための国家資金によるインセンティブ・プログラムを実施しています。 このプログラムはすでにインパクトを与えています。2014年時点では90台に達していなかった電気自動車の台数は、今日既に6,000台を超えています。 EV市場シェアでヨーロッパ諸国の中で第2位にランクされた同国では、主要幹線道路であるルート1沿いの1,300キロメートルにわたって、20台以上のABBの高速充電スタンドとその物流バックボーンを設置し、恩恵を受けています。
EVインフラは欧州全域で拡がっています。 現在、デンマークでは充電ステーションの数がガソリンスタンドの数を上回っています。そして今年、オランダでは、ABBとのパートナーシップで、ネットワーク充電事業者Fastnedが、350kWの充電能力を設置しました。
エネルギーヴェンデ(Energiewende)と呼ばれるエネルギー移行政策を推し進めるドイツは、eモビリティに最もコミットしている国のひとつです。 エネルギー供給業者のEnBWは、ドイツの自動車道路に沿って、すでに200近くのEV高速充電器をタンク&ラスト補給ステーションに設置しています。
BMWグループ、ダイムラーAG、フォルクスワーゲングループのアウディ部門、ポルシェ部門やフォード・モーターによるIonity充電ネットワーク合弁会社を通じて、ドイツの自動車メーカーは、彼らの役割を果たしています。 2020年までに、Ionityは、ヨーロッパの24カ国にわたる約400の急速充電ステーションのネットワークを運営する計画です。
Ionityの供給元であるABBは、すでにスイスで350kWの高速充電器6台を納入しています。この充電器は、ヨーロッパで液冷式ケーブルを搭載した最初の充電器です。また、ABBは最近、30周年記念事業の一環として、本社が拠点とするチューリッヒの市民に、30カ所の高速充電ステーションを贈呈しました。
フランスでは、目下、ABB高速充電ステーションのネットワークが設置されています。 自動車ディーラーは、買い手の便宜を図るべく、全国に100以上の充電器を設置しました。 フランスの地中海にあるコルシカ島では、太陽光発電業業者 Corsica Soleの子会社であるDriveecoが太陽光発電を電源とするABBのTerra充電ステーションを配備しています。
イタリアでは、ABBが、欧州委員会が資金の一部を拠出するユニテ・プロジェクトの一環として、充電ステーションを提供しています。 このユニテ・プロジェクトは、電気自動車がジェノバからアイルランドのダブリンまでの2,000キロメートルを電気自動車で旅行することを可能にする充電ステーションのネットワークを提唱するものです。 ネットワークが完成すると、ドライバーは、EVの製造、モデル、電圧、または決済システムにかかわらず、道中迅速かつ容易に車両に高速充電することができます。
欧州大陸の他の国々もe-モビリティを採用しています。 急速充電ネットワークは、チェコ共和国全体で急速に拡大しています。さまざまなグリッド事業者や小売業者に80もの充電ステーションを提供しているABBが、この急速な拡大に貢献しています。 ABB高速充電ステーションは、ブルガリアの道路や高速道路でも増加しています。
北米
アメリカでは、世界最大かつ急速に成長している充電ステーションのネットワークのうちの2つが設置されており、その双方でABB充電器を採用しています。 1つはEVgoで、現在は66の大都市圏で運営されており、すでに500以上のABB充電ステーションが整備されています。
もう1つはElectrify Americaで、これまでに計画された最大の電気自動車インフラ・プロジェクトです。 Electrify Americaは、全国の高速道路ルートに沿って120マイル(約193キロメートル)以下の間隔で、17の主要な都市市場に数百の充電スタンドを配置する予定です。
カナダでは、ABBのモントリオールキャンパスに対する9,000万ドルの投資の一環として、eモビリティの中核的研究センターを設立しました。 同センターでは、ABBのTerra 53DC充電ステーションを2つ設置し、同技術の可能性を実証しました。 eモビリティの中核的研究センターは、将来のカナダのより賢明で持続可能な交通システム実現に向けて支援します。
アジア
中国は、世界最大の自動車市場を有しており、どの国より最も多く電気自動車を生産しており、また、世界最大の国内EV販売台数を上げています。エネルギー自立への欲求、大都市の深刻な大気汚染、EVの世界市場を支配する野望を持つ中国は、EV化を強力に奨励しています。
中国自動車工業会によると、買い手の反応も同様で、2017年には40万台以上のフルEVが販売されました。 また、充電スタンドに対する需要も同様に好調に推移しています。
ABBは2014年以降、中国のトップサプライヤのひとつであり、直流(DC)高速充電器を供給する電気自動車合弁会社BDNTと戦略的協力関係を結び、同国でも直流充電の足がかりを築いてきました。 こうした合意は、2020年までに12万の充電ポイントを配備するという中国の計画、および都市バスの大規模な電化とともに、急速充電器の分野でABBの巨大な成長の可能性を示しています。
さらに、ABBは、中国東部の新江地方から安華省に電力を送電する新疆昌吉~古泉間 送電系統のようなプロジェクトで、充電ネットワークに電力を供給する上で重要な役割を果たす用意があります。 この超高圧直流送電線(UHVDC)は、国家電網公司と密接に協力して開発・設置された従来の記録を打ち破る110万ボルト変圧器を使用します。 この送電系統により、中国は、都市部に近接する石炭電源から、太陽光発電や風力発電が豊富に生産できる中国国内の人口が少ない地域でのクリーンな再生可能エネルギー生産に移行することが可能になるでしょう。
ABBのもう一つの潜在的なEV成長市場はインドであり、ABBはクリーンエネルギーを電源に組み込むことによって都市の公害削減を支援しています。 インドで発電された太陽光発電の50%は現在ABBインバータによって直行変換されています。 また、1,700kmにわたるUHVDC送電系統により、ヒマラヤからアグラ市に水力発電による電力を送電し、北インド全域に配電します。
インド政府の主要な政策シンクタンクは、クリーンエネルギーと持続可能な輸送へのコミットメントを実証するべく、インドの首都ニューデリーの本社にABB Terra 53高速充電ステーションを設置しました。 そのシンクタンク、NITI Aayogは、ニューデリーのEV充電ネットワークにおけるパイロットプロジェクトを計画しています。